■1 ゆるブラック企業とは?
社労士の会報で見かけた言葉で、私自身は、初めて目にした言葉です。
記事によりますと、ゆるブラック企業とは「仕事は楽だが、成長できず収入も上がらない企業」を指すようです。
なんとも言えない定義ですが、このとらえ方を「わがまま」と認識しない方が良い世の中に変貌してきたのかなと感じてしまいました。
■2 20代は「ゆるブラック企業」をどうみているか?
「ゆるブラック企業だから」という理由での転職をどう思うかとの質問で、「同意できる」が39%、「どちらかといえば同意できる」が37%と、合計76%が「ゆるブラック企業からの転職」に肯定的とのことです。
そして、20代が81%を占めており、若年層ほど肯定的な人が多いようです。
※会報での記事では、上記の統計数字は、エン・ジャパンの「ブラック企業・ゆるブラック企業調査(2023年12月20日)」だと思われます。
■3 求職者の企業選びの際の労働条件
上記のエン・ジャパンの調査によれば、「労働時間・休日数が適切か」が80%、次に「会社の雰囲気が良いか・社員同士の仲が良いか」が61%だそうです。
長時間労働やプライベートの時間を確保しづらい企業、職場の人間関係が希薄な企業ほど敬遠されているようです。
■4 なんとも言えない時代になってきたのかもと
上記からは、「残業が少なく、休日も土日祝日などきちんと確保でき、自分が成長できる程度の仕事の難易度で、賃金も頑張った分だけ上がっていく」という希望が透けて見えますが、日本の中小企業でこのような希望を満たす企業は、ごく少数だと思います。
■5 エン・ジャパンの「就業前後のギャップ調査(2023年8月30日)」も興味深い
求人や面接などの入社前と、実際に入社した後でのギャップを感じ退職する人が少なくないようです。
同調査では、就業前後にギャップを感じた経験のある人は79%で、そのうちギャップが原因で退職したことがある人は55%もいるようです。
退職原因のギャップの上位は、「職場の雰囲気」が29%、次いで「仕事の内容」が24%、「時給・給与」は9%だそうです。
退職時期は、入社から1か月以内が26%、2~3か月以内が25%で、半数が3か月以内に離職をしているようで、職場の雰囲気や仕事内容に違和感を持つと早めにやめる人が多いようです。
■6 中小企業は今後どうしていけば良いのか?
机上の空論かもしれませんが、個人的には、まず「生産性向上+部課業務の明確化+個人業務の明確化+賃上げ分の価格転嫁」をしていかないことには、上記の「わがまま?」に対応しづらいのではないかと感じています。
「わがまま?」と書いている私自身が昭和なのでしょうが、今後入社してもらわないといけない人たちは、Z世代以降の人たちとなってきますので、何か手を打っていかないと苦しくなってくるのではと危惧しております。
(対応策について、大企業がすでに先行しているのは、皆様ご承知のとおりです)
■7 さいごに
今回は、労務問題専門を標ぼうしている私の視点ではない論点でしたが、私としても避けて通れない時代になってきていると感じています。
解決方法の一つとして有力だと思っておりますは、「ジョブ型雇用(or少なくとも職務評価)への助言」です。
労働市場も時代も刻々と変化しておりますので、何らかのアクションを起こしていかないと、10年後が見通せない世の中になってきたと感じております。
※メンバーシップ型(終身雇用=厳しい解雇規制)で今後も経営をされていくのは、日本人になじみやすいことがまだまだあるとは思いますが、中小企業において、厳しい解雇規制と引き換えに認められている広範な人事権の行使(転居を伴う転勤など)を、どこまで有効に活用できているのか、個人的には疑問に思うことがあります。
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