退職代行急増中
- info134084
- 1月24日
- 読了時間: 4分
更新日:1月27日
今回は近年急増中の退職代行について述べたいと思います。
私の世代的には意味不明なのですが、ビジネスとして成り立ってしまっています。
営利法人だけでなく、労働組合や弁護士も参入しています。
私の実務でも、(記憶では)令和に入ってからご相談いただくようになり、2年ほど前からは急増しています。
■1 退職代行とは
字のとおりで、労働者の退職を代行するわけですが、法的な視点で見た場合には「本人の退職の意思表示を会社に、ただ伝えるだけ、の連絡窓口的な立ち位置」という意味合いになります。
しかし、後述します弁護士による退職代行は法的に代理行為になるのが通常です。
退職代行を利用する世代ですが、圧倒的に20代が多く、自分の意思を会社に伝えるのが苦手か関わりを持ちたくない、というのが主な理由だと思います。
■2 退職代行業者は3種類
普通の営利法人で株式会社●●
労働組合
弁護士
■3 普通の会社 株式会社●●
テレビでも取り上げられており、女性スタッフがさわやかな雰囲気で
女性:「お世話になっております。退職代行会社●●の●●と申します。御社の●●さんの退職に関してお電話させていただきました(趣旨・記憶が正確ではないため)」
会社担当者:「お世話になります。(中略)●●さんの退職の件、承知いたしました。(趣旨:同上)」
と、こんなやり取りがテレビで放映されていました。
退職代行会社が事前に書類を送付したうえでの電話対応だと思います。
<冨島おすすめの会社対応> 退職代行会社の場合
労働者本人の退職の意思表示を法的に明確にしてもらうため、本人からの退職届の有無は必ず確認し、もしなければ、退職代行会社に本人から会社に提出(郵送可)してもらうよう伝えてもらう。
その他の初期対応は、退職に関するいくつかの書類や手続きを列挙し、それぞれについて、退職代行会社宛か労働者本人宛のやり取りか確認し、退職代行会社の意向を踏まえて対応する(メールで証拠残しながら+書類の宛名は労働者本人宛)。
退職届を確認後、労働者本人宛の退職承諾書を発行し特定記録郵便で発送(一応、退職代行会社に、本人直接か退職代行会社への郵送か確認されるのが良いかと)
■4 労働組合
私の知る範囲ですが、退職代行を主にしている労働組合も現れてきました。
退職代行だけ、であれば、上記退職代行会社と同じようにご対応いただき、他の要求事項がなければ特に気にされる必要はないかと思います。
ただ、退職の件の他に未払い残業代請求などをセットにしてきていますと、話は違ってきてしまい、通常の労働組合対応にならざるを得ないのがほとんどです。
<冨島おすすめの会社対応> 労働組合の場合
上記の退職代行会社の対応と同じです。
■5 弁護士
弁護士の場合には、本人からの委任を受けて、代理で労働者本人の退職の意思表示をする法的権限があります。
ですので、弁護士からの労働者Xの退職に関する書類(以下、Xの退職書類)は、それだけで、労働者本人が書いた退職届と同等の法律効果があります。
正式に受任している代理人弁護士からなら、通知書というタイトルでも、労働者本人の退職の意思表示の法律効果があるとみて良いです。
ただ、正式に受任した証拠を見いだせませんので、最低限、その弁護士の名前を検索して、ホームページを確認してください。
もし実在する弁護士の名前をかたった架空詐欺がなされている場合は、ホームページなどにその旨の警告が出ていることがありますので。
<冨島おすすめの会社対応> 弁護士の場合
届いた書類に従って、代理人弁護士と淡々と退職手続きを進める。
会社が弁護士に連絡した際、退職届を改めて出しますと言ってくる弁護士もいますので、一応退職届がなければ依頼してみてください。
ただし、なかには「?」が付く弁護士の方もいらっしゃいますので、そのようなレアケースの場合は、上述の退職代行会社と同じような対応が、石橋をたたいて渡りたい私的にはおすすめです。
■6 繰り返しですが、弁護士以外なら退職届はマスト
上述のとおり、弁護士であれば法的に、労働者の退職の意思表示を代理できますので、退職届は無くても足りるのが通常ですが、退職代行会社や労働組合の場合には、本人からの退職届+会社からの退職承諾書は、マストです。
■7 まとめ
労働者(無期=正社員などの場合)の退職の意思表示である辞職は、労働者からの退職の申し出から2週間経過すれば、法的に退職できます。
退職代行を利用する人たちが、この民法の規定を知っていれば、退職代行に数万円も支払う必要は一切ないのですが、知らないのか、知っていても退職届を郵送することすらしたくないのか、謎ですが、退職代行というビジネスが近年急増していることだけは確かです。
【ご参考:民法】
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
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