令和の労務管理は新概念の性弱説?

更新日:11月1日

■1 性弱説とは?

性悪説と性善説はよく使われる言葉ですが、性弱説という言葉は、つい最近まで知りませんでした。

あるラジオ番組で聴いた言葉で、出所などはよくわからないのですが、私なりの言葉で性弱説の定義をしますと、「人はもともと悪いのではなく、弱いから、つい悪いことをしたり、さぼったりする」というものです。

ネットで検索をすると、結構前から使われていた言葉なのだと知りました。


■2 労務問題でよくある金銭の不正やさぼり

なぜこの問題が起きるのか?

それは、もともと悪人ではないが、人間は弱いため、つい魔が差して不正経理をしたり、現金を盗んだり、またはさぼったりする、という性弱説に立った考え方があるようです。

確かに言われてみれば、性悪説で考えるよりも、性弱説で考えた方が、しっくりいく気がします。

悪さをしそうな人は用心しながら面接等をして採用しなければ良いのですが、弱さを見抜くのはかなり難しいと思います。

誰でも弱い面は必ずありますし、環境の変化で弱くなる(いろんな事情でお金に困るなど)ことはよくあります。


■3 どう防げばよいか?

性弱説での予防の考え方は、「人間は弱いから、会社が仕組みづくりをして、不正・ごまかし・さぼりなどが起きないような環境を作ること」が大事だということです。

このような労務管理をすれば、不正・ごまかし・さぼりなどに対して効果があるという考え方です。


■4 不正経理の多い中国企業の対策

中国では不正経理がとても多かったようで、それを防止するため、コストがかかっても、入金と出金の担当者を別の人にしているそうです。

このような中国企業は増加しており、不正経理が少なくなっているようです。

日本企業では、今も入出金をセットで担当していることが多いかと思います。


■5 不正経理は単独犯が多い

入出金を別々の担当者にしても、それらが共犯になれば不正経理はできますが、不正経理は圧倒的に単独犯が多いようです。

日々、会社のお金を右から左に自分の判断で動かしており、細かい日々の入出金をいちいち経営者はチェックできません。

ですので、いろんな事情でお金が必要になった場合、つい魔が差して不正経理をしてしまう、このようなケースは非常に多いです。

そのため、中国では入金と出金の担当者を別々にしていて、共犯で悪さをするのは、それこそ「悪人」であり、中国でもそこまでの悪人は少ないようです。


■6 現金の取り扱いも不正が多い

昔から多い事案ですが、レジに防犯カメラ(監視カメラ)などを設置しても、現金のもらい間違い、お釣りの渡し間違いと主張された場合、不正を立証するのは容易ではないと思います。

ですので、現金商売の場合は、不正が起きやすいわけです。

しかし、最近のスーパーやコンビニのレジは、自動でお札や小銭を入れ、お釣りも自動で出てくるのが増えました。

いろんな理由はあると思いますが、性弱説の角度があるのは確かだと感じます。


ちなみに、中国では、キャッシュレス化が一気に広がり、不正をしにくい仕組みづくりがなされているようです。


■7 さぼりへの対策は?

何度か取り上げている「業務日報」を書かせるのが効果的です。

例えば、15分刻みで、どんな業務をどれぐらいの時間で、どれぐらいできたかを、すべて

数値で具体的に書いてもらうのです。

業務の見える化なのですが、さぼりたいという弱さ(性弱説)への抑止力になりますし、悪意があってさぼってる人(性悪説)は、業務日報すら書きません。

それでも淡々と業務日報の提出指示書を出し続けていけば、いつのまにか会社からいなくなることが多いです。


■8 アンケートも効果的

匿名可の職場環境アンケートなどを定期的に実施していただくと、特にハラスメント対策・防止に効果的です。

ここでは詳細は省きますが、特にパワハラは、だれに何を書かれるかわからないという緊張感が出て、一定の抑止力にはなると思います。


ちょっと角度は変わりますが、大手通販サイト等のカスタマーサービスに問い合わせた際、「アンケートにご協力ください」という旨のメールなどがきます。

これも、性弱説の観点があるように思います。

何を書かれるかわかりませんので、おのずと対応は丁寧になるのかと。

(本質は不親切なら残念ですが)


■9 冨島は何説?

性弱説という概念を知ってから、この説は結構しっくりきています。

人は弱いから、魔が差すような機会を作らない、さぼれるような環境を作らない、というのは理にかなっていると思います。

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