■1 企業は応募者の同意なしに職務経歴等の調査ができるのか?
最新の私の結論は、「No」です。
昭和の私的には、これまで、「履歴書や職務経歴書をもとに、前職の会社にお電話していただき、人事部に求職者の在籍の有無などを確認された方が良い」と申し上げてきました。
この点に関する会社の対応方法について、行政指針で明確とまで言えるものは見当たらず、私のなかではグレーゾーンでした。
しかし、上記について、令和4年6月10日厚生労働省告示の改正職安法指針で、求職者の職歴等の確認・調査をするにあたって、求人者(会社)は求職者の同意を得なければならない旨が明記されました。
同意を得ずに、求職者の職歴調査等をした場合には、労働局の指導対象となりますので、今後はご留意ください。
※私自身、この点は、最近まで盲点でした。
■2 今後の企業の具体的対応は?
上記■1の指針を踏まえ、求人企業は、少なくとも「履歴書や職務経歴書の記載内容について、募集職種の適性判断を目的として、当社の●部が、あなたの在籍していた各企業の人事部(人事部がなければ担当部署)に電話・メール等で問い合わせをしたいのですが、これらについて同意していただけますか?」という趣旨の同意は得なければなりません。
同意の取得方法は、書面が良いです。
※労務における同意の方法は、書面が基本です。
加えて、指針では、「上記の同意の有無を、応募の条件にしない、自由意志を担保する旨」をうたっており、指針に沿った運用が必要です。
つまり、同意しない人の門前払いはだめですよと、言っております。
■3 最近多くなってきたリファレンスチェック
リファレンスチェックとは、私の認識で簡潔にお伝えいたしますと、求職者の職歴について、求職者の上司や同僚等にアンケート(評価)に協力してもらうこと(求人企業への調査協力)です。
一度、このテーマのウェビナーに参加したことがありますが、効果はそれなりに見込めそうな感じでした。
もしご興味がおありでしたら、私までお問合せください。
■4 労務問題は水際戦略が一番大事
基本的なことですが、採用に力を入れたら入れた分だけ、労務問題の発生リスクは減らせます。
問題を起こしそうな人を採用しなければ良いだけですから。
しかし、人手不足で、求職者を選んでいられない現実もあります。
そのような場合には、リスクと期待との割合をよく見極めていただき、リスクの方を事前に予測して、労働契約の内容(配置転換の有無や賃金等)を決めていかざるを得ません。
そのためには、過去にご紹介しましたDPI(ダイヤモンド社のSPI版)やリファレンスチェックなどを採用に取り入れていただき、水際対策強化、リスク回避強化をなさっていただきたいと思っております。
■5 当たり前のことなのですが、今一度
人というのは、良く変わることはとても努力のいることですが、悪く変わることは、たやすいことです。
ですので、採用に全力を挙げても、労務問題リスクをゼロにすることはできません。
しかし、ゼロを目指して「採用強化+より良い労務管理」をしていただきたいなと思っております。
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