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労働(雇用)契約は超高額契約です!契約はなるべく慎重に

  • info134084
  • 2024年6月24日
  • 読了時間: 4分

更新日:1 日前

■1 労働(雇用)契約がなぜ超高額なのか?

我が国の労働法制では、解雇不自由だからです。

解雇する権利を使用者は一応もってはいますが、労働契約法によって解雇を制約しており、実務上は解雇不自由と言えます。

よほどの理由と客観的証拠がないと、解雇が有効になる可能性は低いです。

ということは、使用者が一人の労働者を雇うというのは、途中解約がほぼ無理な(入社から定年までの)長期契約と言っても過言ではありません。


■2 超高額とは具体的にどれぐらいの金額か?

わかりやすい前提がよいと思いますので、以下を設定します。

  • 月給30万円(昇給なし)

  • 賞与なし

  • 定年60歳の会社

  • 30歳の中途採用

あとは、単純計算すれば金額が出てきますが、計算式を書きますと

360万円(月給30万の1年分)×30年(在籍期間)=10,800万円

となり、1億円を上回っております。

今回の前提には入れておりませんが、65歳までは雇用確保が義務付けられており、上記金額にプラスして5年分の給与が別途必要になってきます。


■3 1億円超は大げさでしょうか?

私はそうは思っていません。

数字は正直で、一人の正社員を雇うということは、これほど高額の契約になる、ということです。

しかし、「やめていく人もいるからそこまで気にしていられない」というお考えの方もいらっしゃるかと思います。

私もそのように思うこともありますが、問題社員の場合、なかなか辞めない(転職先もおぼつかない)人が比較的多く、どうすれば良いかというご相談を日々承っております。


■4 ではどうすれば良いのか?

今以上に採用に力を入れていただきたいと思います。

慎重に判断するために何回か面接をし、以前ご紹介しました適正検査(DPI)を必ず実施していただくなど、少しでも採用コストをかけていただくのがベターだと思います。

個人で1億円超のマンションを購入するのに、1回の商談でその場で決めてしまう人は、ほぼ皆無だと思います。

会社でも、1億円超の設備等を購入する際は、見積もりを複数からとったり、実際にお試ししてみたり、されるかと思います。


■5 それなら、試用期間があるではないか?

お試し期間としての試用期間はありますが、本気で法的なハードルを考えた場合、「本採用後の解雇」と「試用期間での本採用拒否」は、法的ハードルの高さは大きく変わりません。

もちろん本採用拒否の方がハードルは低いですが、それでも私の感覚では、低くても解雇の80%以上という感じです。

ですので、試用期間で簡単にサヨナラできるとは、お考えいただかない方が安全です。

とはいえ、解雇に比べ本採用拒否が法的問題になりにくいのも事実ではあります。

しかし、これは労働者側の良識にゆだねられた結果であり、法的結果ではありません。

(試用期間だから本採用不可でも仕方ないと思われる方が多いということだけです)

ちなみに、労働(雇用)契約の成立は、試用期間開始ではなく、採用面接中の口頭でも成立しますし、内定を出した場合には基本的には契約成立してしまいます。

ですから内定取り消しから、お金が絡んでしまうのです。


■6 高額契約成立の前に、慎重にご判断いただきたいです

人手不足でそんなこと言っていられないというお気持ちも痛いほどわかっているつもりなのですが、一方で労働(雇用)契約を解消することに非常に悩まれていることが多いものですから、あえて申し上げさせていただきました。

極論を申し上げますと、採用が大成功すれば、使用者も労働者もウインウインであり、労務問題になることはありません。

しかし、採用の現場では、求人者と応募者の双方の期待感が先行していると思います。

結果、ミスマッチが起きてしまうかと。

しかし、こればかりは、仕方のないことだと思います。

ですので、採用選考段階で、労働(雇用)契約は超高額契約であるとのご認識を改めてお持ちいただき、客観的な採用基準を設けるために上述のDPIなどを、是非実施していただきたいと思っております。

それだけで、ずいぶんと違った側面がみえてくると思いますので。

 
 
 

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