top of page

令和の時代の未払い残業代請求

  • info134084
  • 2022年5月6日
  • 読了時間: 4分

ある弁護士(使用者側の労働法専門)のラジオ番組を聴いていて、「なるほどなぁ」と思いましたので、取り上げます。


■1 平成までの残業代請求の一般的傾向

お金のために請求するというよりは、辞める時に会社に恨みを晴らす、不当解雇のついでに請求する、ハラスメントで訴える時についでに請求するなど、退職時の感情論や、「ついでに請求」が、平成では多い傾向だったと思います。

ですので、辞める時に円満退職してくれれば、未払い残業代請求に発展する機会は、かなり少数派だったのだと思います。

(私の実務経験ではありません)


■2 令和の未払い残業代請求

あくまで冒頭のラジオ番組で取り上げていた内容ですが、今後、下記のような傾向は強くなっていくと思います。


【ラジオ番組での弁護士への相談概要】

・約8年間会社に在籍しているが、過去1円も残業代が支払われていない。

・入社の時に、残業代は営業手当5,000円に含まれてると説明され、それが普通だと思っていた。

・友人に上記の話をしたら「今時、そこまでちゃんとブラックな会社は珍しいね」とドン引きされた。

・そのうえで、このラジオ番組を聴くようになって、「世の中はこんなにもホワイトになっているのか」と認識した。

・この度、転職をするので、会社に未払い残業代請求をしたいが、どのような弁護士事務所を選べばよいか?

・30代半ば。


<証拠はしっかり残している>

・日報をpdfで過去三年分残している。

・社長承認のパソコンのログがある。

・給与明細に残業代、定額残業代の記載がない。

・就業規則に定額残業代の記載がない。


<相談者に対するラジオ番組の弁護士の評価>

・礼儀正しく、普通の人と感じる。

・転職をきっかけに、請求できるものは普通に請求する、という感覚。

・10年ぐらい前までは、社長が「うちはいい子たちばかりだから、未払い残業代請求なんかする人間はいない」と言われることが多かったが、もう時代が違ってきている。

・払うものは払ってくださいという時代。


■3 冨島苦笑い

使用者側の労働法専門弁護士のラジオ番組に、上記のような「未払い残業代請求をするための労働者側弁護士を選び方」を相談しているわけです。

弁護士の回答は、3パターンでした。

(1) 全国展開の大手法律事務所→スピード解決で金額もぼちぼちでいいやという場合

(2) 本気の日本労働弁護団など→徹底的にやってくれる

(3) 未払い残業代請求専門の法律事務所→(1)と(2)の中間


<弁護士の感想>

転職のタイミングで、未払い残業代請求を普通の権利行使としてやる時代になってきている。

経営者の方も考え方を変えないと大変なことになる。


■4 冨島の所感

基本的に、ラジオ番組の弁護士に同意見です。

平成生まれ以降の方々には、私のような「昭和の魂」はほぼ通用しません。

Z世代以降には、まず通用しないと思います。

前々からそう思っていましたが、令和になってから、顕著になりつつあります。

いろんなことを言いたい気持ちがありますが、世の中全体が変化しています。

当然、労働市場も変化しています。

ということは、「あしたのジョー」や「東京ラブストーリー」などが大好きな昭和生まれの私の世代も変化せざるを得ないです。


私のお客様(経営者の方)も、私と同じ年齢の方々が非常に多くなってきました。

私が40歳ぐらいの頃はかわいがってもらう的なお付き合いの仕方をしていただいてましたが、私も「経営者の年齢層ど真ん中」になってきました。

ですので、まずは私自身が「時代はもう変わったんだ」という強い意識を持たねばと、強く感じています。


■5 未払い残業代請求の時効は3年で、そのうち5年

民法改正により、とりあえず、賃金請求権の時効が3年となっていますが、最終的には5年になります。

このメルマガをお読みいただいて、「まずい」と思われた経営者の方は、残業代の支払いについて、可及的速やかに対策を講じられることを強くお勧めいたします。


■6 さいごに

昭和ど真ん中生まれの私にとっては、「なんだかなぁ」と思う時代になってきましたが、きっと、明治大正生まれの方々は、私が生まれた昭和ど真ん中に、「なんだかなぁ」と思われていたのだと思います。

すがすがしく生き残るために、変化に対応してまいりたいと思います。

 
 
 

最新記事

すべて表示
退職代行急増中

今回は近年急増中の退職代行について述べたいと思います。 私の世代的には意味不明なのですが、ビジネスとして成り立ってしまっています。 営利法人だけでなく、労働組合や弁護士も参入しています。 私の実務でも、(記憶では)令和に入ってからご相談いただくようになり、2年ほど前からは急...

 
 
 
ハラハラ社員とその対応方法

私の記憶ではTV番組の情報だったかと思いますが、日本人は単語を4文字に短縮するのが好きなようです。 このようなことを指す用語もあるようですが、記憶に残っておらず…。 労務の分野でも同じことが言え、例えば「セクシャルハラスメント →...

 
 
 
パートアルバイトのシフト制のトラブル回避策-たかが以上以内、されど以上以内

今回は、意外と盲点のテクニックでして、主にパートアルバイトの方の就業規則と雇用契約書(労働契約書)において、パートアルバイトのシフト制(以下、単に「シフト」とします)をとる場合、さりげない文言の「以上以内」を使うことで、法的効果は大きくなるという点を述べていきたいと思います...

 
 
 

Comments


顧問報酬

ワークデスク

労務相談業務(定期面談なし)

​49,002円~/月(全国対応可)

​※消費税・源泉所得税及び復興特別所得税込みの総額

ビジネスミーティング

労務相談業務(毎月の定期訪問あり)

​122,507円~/月(多摩地域限定)

​※消費税・源泉所得税及び復興特別所得税込みの総額

【上記顧問報酬につきまして】

​・定期面談のないプランは、従業員数50人以下の場合の金額になります。

・上記の顧問報酬には、会社に役立つ労務関連書式のご提供も含まれております。

・ご注意:社会保険等の手続き・給与計算・助成金申請等は、一切行っておりません。

・報酬額は、2022年1月改定後の金額になります。​​

【弊事務所への依頼をご検討のお客様へ】

誠に勝手ではございますが、弊事務所では顧問契約締結を前提に「労務問題対応・相談、就業規則作成・改定等」のご依頼を承っております。

そのため、スポットでの契約はいたしておりません。

よりよい会社にしていくお手伝いを、中長期的にさせていただきたいというのが弊事務所の基本的な考え方でございます。

​ご理解のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

弊事務所の電話相談は、1時間2万円(税抜手取り)

顧問契約締結の場合限定で、初回電話相談無料です。

お電話は平日9:00~17:00、フォームでは24時間受付けております。

下記はお客様・顧問契約の​​ご検討専用ダイヤルです。

提案・営業電話は、固くお断りいたします。

冨島社労士事務所  
東京都立川市若葉町3-71-2
定期訪問可能エリア:立川市、八王子市、町田市、武蔵野市、府中市、調布市、三鷹市、小平市などの多摩地域限定

Copyright (C) 冨島社労士事務所 All Rights Reserved.

bottom of page