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季節性インフルエンザへの会社対応(令和6年アップデート版)

  • info134084
  • 2024年1月25日
  • 読了時間: 3分

更新日:2024年1月31日

■1 季節性インフルエンザで休んでいいよと言ったら?

このような会社の言い方ですと、「雪が予測されるから早く帰っていいよ」という言い方と同じ理屈で、100%の賃金支払い義務が会社に発生する(就労免除のため)と、私はこれまでご説明してまいりました。

この点は、基本的に変わりません。

笑い話として「じゃんけんと同じで、先に出した(上記の場合は、先に言った)方の負け」と、いろんなところで申し上げてまいりました。


■2 実際に季節性インフルエンザを発症して労務提供不能な場合は?

このような場合、揉めるケースがない(さすがに出勤したいとは言わない)ため、ご相談をお受けしたことがありませんでした。

もしあるとすれば、季節性インフルエンザを発症して労務提供不能であるにもかかわらず、年次有給休暇がないため、本人が頑なに出勤すると言い張るケースです。

この場合、会社が労務提供受領拒否(出勤不可命令)すると賃金はどうなるのか、私の中では明確にしてきませんでした。

上記■1のとおり、会社から「休んでいいよ」と先に言わない対応で、これまで何の問題も起きなかったからです。


ただ先日、私の顧問弁護士事務所のボス弁から、「季節性インフルエンザで労務提供不能なら、民法の原則で100%の賃金と休業手当の両方とも、会社に支払い義務はない(趣旨)」という話を聞きました。

細かないろんなケースを想定しているわけではなく、あくまで「労務提供不能なら」という原理原則的なお話です。

私も民法の原則は知っていましたが、会社が労務提供受領拒否をした場合の100%の賃金支払い義務、または休業手当の支払い義務が発生する場面は結構あると思っていました。

※本気で考えますと、結構ややこしいです。


今もその考えに概ね変わりはないです。

労務提供不能か否かについての立証が絡んでくると、さらにややこしくなります。

そこで、令和6年アップデート版として、「季節性インフルエンザ発症の際の会社の対応と賃金等支払い義務」について、新たに整理をしました。


■3 季節性インフルエンザで労務提供が完全に不能な場合

高熱も出て、他の従業員への感染リスクが高い場合、正常な労務提供ができない状態(労働者側の債務不履行)ですので、会社の労務提供受領拒否は正当であり、100%の賃金・休業手当の両方とも、支払う必要はない。


ただ、面と向かっていない相手を、「季節性インフルエンザで高熱が出ていて、かつ感染リスクが高い」と、会社は判断のしようがありませんが…。

このような疑問点が残りますが、ともあれ、このようなケースであれば、会社に支払い義務はないと考えて問題なさそうです。


■4 回復して就労可だが感染リスクは残っており、本人が頑なに出勤するという言い張る場合

ご相談があるとすれば、このようなケースだと思います。

  • 会社が自宅待機を命じる→100%の賃金支払い義務あり

  • 在宅勤務を命じる→労働の対価として普通に賃金を支払う

  • 安全策で休業命令→休業手当を支払う(本人を説得して年次有給休暇を取るなら賃金100%だよと説明して有休の取得も許容)


このような整理になってくると思います。


■5 しかし、上記の論点を会社は従業員に言わない方がよい

「働きたい、働ける」と言った者勝ち(言ったら得する)は、社内で発生させたくはありません。

常識的に、年次有給休暇が残っていれば消化、なければ病欠の欠勤控除を多くの普通の従業員は受け入れるはずですから、それをベースに是非対応していただきたいと思います。

極めて頑なに「働きたい、働ける」と言い張ってきたなら、「通常業務の就労が可能で、かつ他者への感染リスクもない」という診断書を提出させるべきだと思います。

そのうえで、出てきた診断書をもとに、上記■3or4の判断を会社がすべきと思います。

 
 
 

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