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定期健康診断
労働安全衛生法は、使用者に労働者への定期健康診断の実施を義務付けています。
行政当局は、労働者に対する賃金支払いと共に、労働者の健康への配慮に対し、かなり厳しい目で企業を見ています。
労基署の是正勧告の内容にも、よく表れています。
定期健康診断の実施義務は企業側にありますが、労働者にも受診義務があります。
しかし、なかには定期健康診断を受診しない労働者も存在します。
では、どうすればよいのでしょうか。
結論は、受診拒否には懲戒処分を科すことがあるとして、受診をさせることです。
当然、就業規則にもその旨の規定も設けます。
もう1点、たまにあるケースですが、医療機関の勘違いで、健診結果を会社ではなく労働者に直接送付して、会社には何も書面が届かず、書面を保存していない、
というケースです。
そもそも、健診結果の原本は会社が持つべきもので、コピーを会社から労働者に渡す、というのが本来のあるべき姿です。
もっとも、会社・労働者ともカラーの原本であれば見た目も良いですが。
上記ケースを防ぐ意味で、会社が医療機関に対し「労働安全衛生法に基く定期健康診断で、診断結果は会社に送付して下さい」と、必ずお伝えください。
定期健康診断の結果、「再検査」や「要精密検査」等とされた労働者に対しての対応方法はどうすればよいでしょうか。
まずは、会社の指定する医師による再検査を受診させます。
労働者の主治医が検査したのでは、労働者の意向を反映した診断結果となる事が考えられるため、会社指定の医師とします。
当然、その旨を就業規則にも明記します。
本来、使用者の履行義務は、定期健康診断の実施と診断結果の通知までで、労働者に再検査を受診させる義務はありません。
しかし、労働者に異常があることを知りながら通常の業務を行なわせ、その結果、倒れたり亡くなったりした場合は、使用者が安全配慮義務違反に問われ、損害賠償を請求されることにもなり得ます。
従って、会社の指定する医師で再検査を受診させることが大切になってきます。
また、再検査そのものを拒否した場合は、定期健康診断の拒否とは違い、懲戒処分はしないで下さい。
理論的には可能な、労務提供の受領拒否という方法をまずは検討してみます。
すなわち、出勤しないで下さい、という事です。
これも、その旨を就業規則に明記します。
しかしながら、この対応は全ての場合で使えるわけではなく、労務トラブルに発展する可能性も当然あります。
よって、事案に応じた他の対応の方も選択肢としながら検討する必要があります。
このような難しい判断は、弊事務所までご相談ください。