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労務トラブル(裁判等)のリスクと行政指導リスク

■1 多くの会社さまが行政指導リスクを意識?

お客さまが気にしておられるのは、労務トラブルのリスクよりも行政指導リスクの方だと感じることが多いです。

労基署の是正勧告にとどまらず、他省庁からの行政指導も実質的にセットで、業法上でのペナルティーも発生したりしますので、そのような事態を危惧しておられるのはよく理解できます。

上記以外にも、限られたケースですが、企業名公表や書類送検も非常に怖いです。

この場合、取引先から契約解除されるという事態になることがあります。

他にもありますが、行政指導による経営上の影響を、多くの会社さまが気にしておられると、いつも感じています。

 

■2 労務トラブル(裁判等)のリスクへの意識は?

行政指導リスクに比べますと、こちらへのリスク意識はそこまで高くないように感じます。

身近な例で、裁判等まで発展した労務トラブルが、行政指導に比べると少ないからかもしれません。

私は日ごろから、お客さまに「労務トラブルのリスク回避の方が大事です」という趣旨のお話しをいたします。

理由は、基本的に労務トラブルのリスク回避ができている会社さまは、結果として行政指導を受ける可能性が低い(労基法などを守れている)からです。

裁判等の労務トラブルのリスク回避には、労基法をクリアーすることは必須になってきますので、結果としてそうなるのです。

以下に、シンプルでわかりやすい一例を挙げてみます。

 

■3 裁判等での未払い残業代請求リスク

このリスクを法的に回避しようとするならば、必然的に労基法をクリアーしないといけません。

主な具体的対応ですが、

・労働時間を適切に管理→労働時間か否かの検証もきっちりされるようにもなります。

・時間どおりに残業代を支払うか、または一定の要件を満たした定額残業手当で残業代として支払う(定額残業手当分の残業時間数を超過した場合、差額支払いは必須)

・細かいことですが、割増賃金の計算を間違えない

これらを行い、リスク回避をします。

といいますか、リスク回避というよりは、対応自体がそもそも労基法を順守できている、となります。

上記の対応をしていて、労基署から未払い残業代があるとの是正勧告を受けるとは、よほどのミスなどがない限り、普通は考えられません。

 

■4 交通事故防止に似ているかも?

交通事故で裁判等のトラブルにならないよう、道路交通法などを順守されるかと思います。

上記で述べたことは、それに似ているように思います。

それでも、相手からの追突事故など、こちらだけの努力では防ぐことができない交通トラブルも発生します。

労務の分野では、一生懸命会社が対応していても、全く筋違いな主張をされてしまうケースでしょうか。

 

■5 最後に

労基法の解釈は、行政よりも裁判所の方が厳しいです。

(※両者の差が顕著だと感じるものの一つに、定額残業手当の有効性があります。)

従いまして、裁判所レベルの労務リスク回避をされていけば、行政指導リスクだけを考えて対応するよりも、会社にとっては効果的なのです。

(※弁護士などに関与された場合、裁判所レベルでの勝負になります。)

また、労使間の信頼関係構築にも大いに効果があると思いますし、離職率低下にも効果があると思います。

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