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三大労働条件(賃金・労働時間・休日)を確実に押さえる
たくさんの労働条件がある中、最も大事で、従業員側からすると一番気にしている点は、以下に述べる3つになります。
会社側の認識よりも、従業員側はさらに気にしていると思っていただいて間違いありません。
この3つについて、従業員側の不信感がなく、不満足度も低ければ、労務問題が発生する確率はぐんと低くなります。
1 賃金
1-1 リスクが高いもの
会社が認識していないものも含めて、未払い残業代は一番危険です。
後述の労働時間や休日と、密接に関係もしています。
一方的な賃下げも、かなり危険です。
賃金の不利益変更との主張をされた場合、それに明確に反論できるようにしないと、争いになれば苦しくなります。
弊事務所のお客さまはについては、いつでも反論できるよう私がその準備を書面でご提案していますから、適切に運用していただいていればまずは安心なのですが、お客さまではない、世の中の多くの企業は危険な状態が非常に多いです。
新規でご相談をお受けする際、賃金の引き下げについて、きちんとした同意書を作成・取り付けをしているケースを、私は一度もうかがったことがありません。
1-2 賃金額の決定
会社さまごとの売り上げ等により大きく左右されますが、経営判断として、他社との比較より自社として適正な労務費かどうかが、まずは大事かと感じています。
ただし、人手不足の現在は、競合他社をどうしても意識せざるを得ないことが多いと思いますが…。
定期昇給の表などを賃金規程に明記するのは、一定のメリット(都度の評価作業の軽減等)もありますが、定期昇給の額を引き下げる場合、かなり慎重かつ丁寧に、労力をかけながら対応する必要があります。
高度な合理的理由、説明を尽くしたか、個々の従業員との適切な書面の同意があるか等々、多くのハードルをクリアーしないと、無効とされるリスクがあるからです。
定期昇給表を減額方向に変更する場合は、必ず私までご相談ください。
周到な準備・手続き等のない定期昇給の引き下げは、かなり危険です。
同一労働同一賃金が法制化されると、定期昇給という考え方が世の中からどんどん少なくなっていくと予想しています。
年齢や勤続年数といった要素を基に賃金を決める必要性が、同一労働同一賃金によって薄れていくと思うからです。
定期昇給とは別に、個別の賃金減額改定も当然リスクがありますから、こちらもきちんとした準備等が必要ですので、必ず私までご相談ください。
1-3 従業員側からの視点
少しでも賃金が下がるとなれば、普通の人なら気にします。
ただ、賃下げ額が少ないとか、社長や経営幹部との人間関係があるから等の理由で、文句を言うまでには至っていないだけ、というのが本音だと思います。
ということは、賃下げ額が多い、社長や経営幹部との人間関係もない(以前は良かったが今は悪いなども)となると、かなりの不満がたまっているとみて間違いありません。
1-4 こじれた場合の最悪のケース
不満があふれだし、従業員が会社に対して具体的な行動に出る場合には、すでに労基署や弁護士、場合によっては外部の労働組合に相談しているケースが非常に多いです。
こうなった場合は、一刻も早く私までご相談ください。
こじれると、会社全体に広がり、手が付けられない状況になることがあります。
実際、会社の認識不足の未払い残業代と経営陣との人間関係の悪化から従業員の不満が出始めて、労働組合が結成され、結果、その会社の経営陣すべてが総入れ替えするという事案がありました。
当然、私へのご相談がない事案の結果です。
2 労働時間
2-1 労働時間の肝
労働時間は、賃金(特に残業代)と完全に相関関係にあります。
そのため、賃金の次に大事な労働条件が、労働時間になります。
労働時間の肝は、
-
適切な労働時間管理
-
無駄な労働時間削減
-
そもそも労働時間なのかどうかの実態把握
になります。
2-2 長時間労働削減の取り組み
上記の3点だけでも強く意識して取り組んでいただくだけで、従来の労働時間より相当減少する可能性があります。
長時間労働の削減が世の中でも多く取り上げられていますが、これら3点は、まずは自社内だけで取り組めるものかと思います。
この取り組みをして、かつ業務の効率化をしてもなお、実際の労働時間が長いとなれば、次に考えざるを得ないのが「顧客対応や営業時間」という、会社経営にとって本質的な事柄となってくるかと思います。
(2017年3月末現在)新聞などでは、すでに大手企業が先行して試行錯誤を始めていると報道されているところです。
大手ですから、顧客対応や営業時間の設定も強気なのでしょうが…。
何年か先には、中小企業のお客さまも判断せざるを得ない状況になることを、今のうちから想定しておいた方が良いと考えています。
3 休日
休日とは、労働義務のない日です。
参考までに、休暇とは、労働義務はあるけれど、労働を免除する日です。
このように、休日は「労働義務のない日」ですから、従業員側からすると、労働義務から解放される自由な日です。
休日は、所定休日と法定休日とに分かれます。
法定休日は、法律上、日曜日ではありません。
従って、法定休日を日曜日に特定するメリットは、会社にはあまりありません。
特に、パートアルバイトの法定休日については、就業規則や労働契約書で「法定休日を日曜日とする」としない方が良いです。
このように記載してしまうと、日曜日の出勤(シフト表での出勤日)でも1.35の割増賃金を払ってください、と言われますので。
休日に出勤を命じるのが休日出勤命令ですが、正社員の場合は、それなりの頻度で所定休日の出勤命令はあるかと思います。
この場合、割増賃金の支払いがきちんとなされていれば問題になるケースは少ないですが、そうでないと、未払い残業代請求の問題が発生した場合、必ず指摘されます。
休日の一番大事な考え方は、労働義務がないことです。
そして、休日出勤命令を出した場合は、割増賃金の議論と基本的にはセットになりますので、労働時間と同じく、賃金と密接に関係してくることになります。
4 従業員数が多くなると
この上位3位の労働条件について、会社側と従業員側との認識の違いが出てくると、労務問題が発生する可能性が高くなります。
そして、従業員数が多ければ多いほど、問題の規模が大きくなり、会社全体に問題が広がると、経営者の方としては非常に苦しくなります。
そうならないように、普段から働く側の従業員の気持ちを考えながら、リスクを最小限に抑えながら、労務管理をする必要があります。
私は、この点を最重要業務として日々専門的に執務をしておりますので、何か嫌な予感がしたりですとか、良くない兆候が出ている場合、お早めにご相談ください。
嫌な予感のうちに、小さい問題のうちに、解決してしまうのがベターですから。
弊事務所の経営側労務顧問サービスでは、経営者の方の嫌な予感への対応、労務リスクの最小化の具体策、そして、何よりも経営者の方が苦しくならないような専門的な助言を行っています。