2020年4月施行の改正民法に伴う身元保証書

1 2020年4月施行の改正民法により、身元保証書の変更が必要

身元保証書に「極度額」という聞きなれないものを記載する必要があります。

極度額とは、保証人が負担すべき額の上限のことをいいます。

「月給の●ヶ月分」という記載では足りず、具体的に●円と記載しなければならないと解されています。

いくらぐらいが良いのか迷いますが、職種によって、50万円から300万円の範囲で検討する感じでしょうか。

経理などお金を扱うことが分かっている場合には、金額を高めにしたり増額したりして、身元保証書を入社前の一定期日までに本人が会社に提出できなかったときは、内定取消し事由にするという対応になってくるかと考えています。

2 身元保証人は何名?

これまでは2名が良いと考えていました。

人物保証的意味合いで近親者1名、金銭賠償を主たる目的としてなるべく遠い親戚や第三者から1名、というのがベターだと考えていました。

しかし、極度額(例えば300万円)が明記された身元保証書に、近親者以外が署名捺印してくれるのか、はなはだ疑問です。

おそらく、これまでよりもかなりの割合で、保証人になってくれないと思います。

そうしますと、基本は近親者1名とし、その方があまりに高齢であったり、明らかに経済力がないとわかっていれば、近親者以外1名などとするのが、現実的なのかなと思います。

3 身元保証人に求めるものは?

個人的には、金銭賠償と、メンタル不全や行方不明の際の連絡先及び相談先の役割を担ってもらおうと考えています。

金銭賠償はあまり期待せず、メンタル不全や行方不明の際の役割を期待しています。

理由は、下記4の通りです。

4 会社には通知義務があり、怠ると身元保証人が負う損害額の減額も

身元保証法第三条

使用者は、左の場合においては、遅滞なく身元保証人に通知しなければならない。

1.被用者に業務上不適任または不誠実な事跡があって、このために身元保証人の責任の問題を引き起こすおそれがあることを知ったとき。

2.被用者の任務または任地を変更し、このために身元保証人の責任を加えて重くし、またはその監督を困難にするとき。

 

ある調査では、上記「1」については約88%、「2」については約98%の会社が通知していないとの結果が出ています。

そして、通知しなかった場合、法的には身元保証人の負う損害額が減額される要素となるとされています。

また、身元保証法のその他の規定により、身元保証人の負担額が従業員の賠償額の2,3割程度となるケースもあるといわれていますので、身元保証人による賠償に過度に期待しないよう注意が必要です。