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メンタルヘルス不調対応時の傷病手当金の注意点

1 メンタルヘス不調の対応で気になる傷病手当金

あるメンタルヘルス対応の実務本を読んでいた時に、ふと、同一傷病で再休職をした場合、傷病手当金がどうなるのか、気になりました。

メンタルヘルス不調の場合、休職と復職を繰り返すケースがあり、また主治医の診断書の病名や精神状態の記述が変化することがよくあります。

このような場合、傷病手当金がどのように取り扱われるのか気になり、協会けんぽに問い合わせることにしました。

2 同一傷病に関する傷病手当金の素朴な疑問

傷病手当金は一定要件を満たせば、支給開始日から最長1年6ヶ月の間だけ、受給できます。

「1年6ヶ月分」ではありません。

ですので、例えば、A病により1年間の休職をし、その休職期間中は傷病手当金を受給していて、復職した7ヶ月後に、またA病で再休職した場合、同一傷病での最長1年6ヶ月を超えていますので、傷病手当金は受給できません。

ここでの素朴な疑問は、「一定期間を経過すれば、A病で再度傷病手当金を受給できるのか?【疑問1】」、また「主治医の診断書にA状態という記載(専門的には状態像診断というそうです)があった場合はどうなるのか?【疑問2】」という2点です。

3 協会けんぽの回答と私のツッコミ

私が問い合わせた際に応対してくれた方は、「上記の疑問1の場合、リセットする期間はなく、再受給はできない。疑問2の場合、同一傷病と判断したら、再受給はできない(趣旨)」との回答でした。

そこで、私は「ということは、最長1年6ヶ月の傷病手当金は、通算40年間を超える人が多数である長いサラリーマン人生の中で、同一傷病での受給は生涯1度キリとなるが、本当にそうなのか?また、約40年前に傷病手当金の受給があった場合、記録をどのように突合せをするのか?」とツッコミました。

協会けんぽの方の回答は、「法的には、同一傷病での最長1年6ヶ月の傷病手当金の受給は生涯1度キリであり、基礎年金番号等の様々な情報を基に過去の受給記録を確認する(趣旨)」というものでした。

4 納得がいかず再度協会けんぽへ問い合わせ

別の担当者の方いわく、「疑問1の場合、40年も間が空いていれば、通達を基に判断するが、新たな傷病手当金の受給はできると案内するのが一般的。疑問2については、一般的には同一疾病とみなす場合が多い(趣旨)」とのことでした。

更に、「傷病手当金の申請に対し、申請者のレセプトを確認したり、協会けんぽ内の医師とも協議のうえ、支給の可否を決定する場合もある(趣旨)」とも言われておりました。

協会けんぽの回答は、1回目と2回目で大きく違うものでした・・・。

 

【参考通達】同一の疾病、負傷

1回の疾病又は負傷で治癒するまでをいうが、治癒の認定は必ずしも医学的判断のみによらず社会通念上治癒したと認められ、症状も認めず相当期間就業後同一病名再発の時は個別の疾病とみなす。通常再発の際、前症の受給中止時の所見とその後の症状経過、就業状況等調査の上認定する。(昭和29年3月保文発第3027号)(昭和30年2月24日保文発第1731号)

5 今回問い合わせてみて私が思った注意点

上述の通り、メンタルヘルス不調において、休職と復職を繰り返すケースは少なくありませんし、主治医の診断書の「○○状態」という記載は、変化するケースが結構あります。

ということは、再休職命令を出した際、傷病手当金を受給できないケースが出てくるかと思います。

会社としては、休職命令の際、入社以降の過去の休職事由も確認した方がよいと思います。

ただ、前職の記録まではありませんので、本人に確認するしかありませんが、本人は言いたくないでしょうし、会社も聞きづらいです。

 

傷病手当金が受給できない(可能性も含む)にもかかわらず、社長や人事総務の担当者が軽い気持ちで「傷病手当金が出るから」と言い切ってしまうと、後に受給できないことが判明するとトラブルに発展する可能性があります。

このようなトラブルにならないよう、傷病手当金の受給に関して、会社が誤ったことを伝えないよう注意が必要だと、今回改めて感じました。

 

このようなリスクを回避するには、傷病手当金の受給の可否について会社は一切触れずに、本人が自分で申請し、会社の対応としては会社が記入等すべきことに限定するというのが、シンプルで良いと思います。

会社が優しい対応をする場合、本人と主治医が先に記入した書類を会社が預かり、事業主証明欄の記入等を最後にして、協会けんぽへの書類送付を会社がしてあげることでしょうか。

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