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求人募集の注意点
超人手不足の時代ですが、人手不足感が出始めてから多くなっている労務問題があります。
それは、求人募集の内容と、実際の労働契約の内容が違うということで、会社が応募者(すでに雇用していれば従業員)から文句を言われ、こじれた場合、争い等になるケースです。
1 よくあるパターン
もめるケースのパターンとしましては、募集内容と労働契約において
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基本給の額が違う
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●●手当支給とあったのに、支給されない
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ボーナス●ヶ月分とあったのに、それよりも低い
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正社員募集だったのに、非正規雇用の話をされた
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試用期間有とはなっていたが、実際は有期雇用と言われた
などのケースがあります。
2 求人募集の内容と労働契約の内容はイコールか?
結論から申し上げますと、法的には、原則イコールとはなりません。
過去の裁判例においても、新卒初任給の基本給が、職業安定所(現ハローワーク)の求人票記載の額よりも、労働契約の額が低かったことについて、「求人票での額はあくまで予定であり、入社の際に確定した金額が労働契約の内容となる(趣旨)」というものでした。
しかし、最近、この裁判例と正反対の判決(以下3の事案:平成29年3月判決)が出ました。
3 求人票の内容が原則として労働契約の内容となる?
【事案の概要】
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ハローワークの求人票で争点となった主な内容は、「雇用形態:正社員 定年:なし」。
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労働者側は求人時点で64歳。定年制がないことに魅力を感じ応募。面接時も定年制はあるかと質問したが、使用者側からは未定との返答で契約期間の話もなし。
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その後、労働契約開始までの間、使用者から明確な説明もなし。
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使用者側は、下記内容の労働条件通知書を提示したが、労働者側はすでに他の仕事を辞めていて、この話を断れないと考え、あまり内容を確認せずに署名捺印。
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主な内容「契約期間:期間の定めあり(1年間) 定年制:満65歳」
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その後、契約更新せず退職扱いとしましたが、労働者側は納得がいかず労働組合に加入して「定年なし」の交渉をしたが、決裂して訴訟となった。
4 裁判所の判断
結論から申し上げますと、使用者側の敗訴です。
【判決の趣旨】
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労働条件通知書ではなく、求人票の内容で労働契約が成立したとみるべき。※使用者側の不明確な対応等を、労働契約成立の理由として指摘しています。
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労働者の同意は、自由な意思に基づいてなされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも判断されるべきものと解するのが相当。※本件の労働条件通知書への署名捺印が、労働者の同意といえるかどうかということです。
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1年間の有期契約であること等を明確に説明せず、労働者側は他の仕事を辞めて収入が絶たれるためにやむを得ず署名捺印したものと認められ、自由な意思に基づいてなされたものと認めるに足りる合理的な理由はない。※労働者の同意があったとは認められないということです。
5 今後
こういった裁判例が出れば、その内容は公になります。
そうすると、今後、このような裁判例をもとに、求人に関する労務トラブルが増加する可能性は高くなると思います。
また、当事者だけではなく、第三者が関与した場合でも、ここを指摘してくることは容易に想像できます。
いつも申し上げていることですが、当事者間で問題を起こさないことがよりよいことであり、もし起こったとしても当事者間で解決させて、第三者に関与されることは是非避けたいところです。
労務問題を予防する観点からも、求人に関する記載は、今後注意する必要があります。
これらについて、何かございましたら、いつでもご相談ください。