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労働基準監督署等の監督指導等の状況(平成30年)
2019年8月に発表された労働基準監督署等の監督指導等の状況をご紹介しつつ、コメントさせていただきたいと思います。
■1 監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成30年度)
※厚労省HPより引用(抜粋)
【平成30年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果のポイント】
(1) 是正企業数 1,768企業(前年度比 102企業の減)
うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、228企業(前年度比 34企業の減)
(2) 対象労働者数 11万8,837人(同 89,398人の減)
(3) 支払われた割増賃金合計額 125億6,381万円(同 320億7,814万円の減)
(4) 支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり711万円、労働者1人当たり11万円
■2 冨島コメント
平成30年度は、全体的に前年度に比べ減少しています。
特に、(3) 支払われた割増賃金合計額は、大幅減です。
というよりは、平成29年度が多額だったのです。
行政に確認したわけではないのですが、おそらく、電通事件などがあり、平成29年度は徹底的に監督指導したからではないかと思います。
また、大手企業の巨額の未払い残業代も、重なっていたかと思います。
実際に、100万円以上の割増賃金の遡及支払状況(過去10年分)のデータを見ても、是正支払額は平成29年度だけ突出しています。
今後も長時間労働とセットで未払い残業は厳しくみられますので、企業としてもこの点は十分に気を付けなければなりません。
■3 自動車運転者を使用する事業場に対する平成30年の監督指導、送検等の状況
※厚労省HPより引用(抜粋)一部編集
〜労働基準関係法令違反が認められたのは、監督指導実施事業場のうち83%の5,424事業場〜
【平成30年の監督指導・送検の概要】
〇監督指導を実施した事業場は6,531事業場。このうち、労働基準関係法令違反が認められたのは、5,424事業場(83.1%)。また、改善基準告示違反が認められたのは、4,006事業場(61.3%)。
〇主な労働基準関係法令違反事項は、(1)労働時間(55.5%)、(2)割増賃金の支払(21.1%)、(3)休日(4.4%)。
〇主な改善基準告示違反事項は、(1)最大拘束時間(46.4%)、(2)総拘束時間(38.8%)、(3)休息期間(32.4%)。
〇重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは59件。
■4 冨島コメント
労基法違反では、やはり、労働時間と未払い残業です。
そして、改善基準告示では、拘束時間と休息期間となっています。
さらに、重大・悪質事案は送検されています。
労働基準法をはじめとする労働法は多岐にわたり、完璧に順守することが簡単ではない法律です。
100点満点がベストですが、重要な法律規定から順番に、自社で順守できることをコツコツ実施していくというのが、まずは大事です。
このような取り組みを全く無視して、(例えば、労働時間に関して労基法違反が見つかり)即書類送検というのは、私は見聞きしたことがありません。
もちろん、理論的にはあることですが。
生意気な言い方になるかと思いますが、労働法には向き合っていただくことが大事だと思っています。
そして、できることからコツコツ取り組む会社の姿勢を、行政だけでなく、従業員も見ていると思います。
これは、現代の労務問題から会社を守るためには、外せない視点です。