労働基準監督署の定期監督等

労働基準監督署の定期監督等の実施結果をご紹介したいと思います。

東京都社会保険労務士会が発行する2016年10月号の会報に、東京労働局管内の調査資料が出ていました。

平成27年度分のデータになります。

他の道府県の数値は含まれておりませんが、東京以外のお客様にもご参考にしていただけるかと思います。

まず、東京労働局の管下18労働基準監督署(支署)が実施した定期監督等(各種情報、労働災害の発生等を契機として労働基準監督官が実施する立入検査のこと)の件数は8871件となり、前年に比べ1301件の増加となっています。

8871件を多いとみるかどうかは皆様にお任せしますが、私が気になったのは、1301件の増加の方です。

今後も増えることはあっても、減ることはあまり考えにくいです。

まだ素案程度だと思いますが、ハローワークを民間開放した後、人員を労基署の増員にまわすことも検討されているようですし。

定期監督等を実施した事業場の業種別件数では、建築工事や土木工事などの「建築業」が3289件と最も多く、定期監督等の全体の37.1%を占めています。

次いで、卸売業や小売業などの「商業」が1331件となり、全体の15.0%を占めています。

以下、「製造業」が1157件(全体の13.0%)、派遣業や警備業、情報処理サービス業などの「その他の事業」が936件(同10.6%)、病院や社会福祉施設などの「保健衛生業」が751件(同8.5%)となっています。

労基署が定期監督等に入る業種の優先順位が、この数字でよくわかります。

意外なのは運送業が入っていないことですが、企業数が他の業種に比べ少ないため、件数の順位は低いのだと思います。

私のこれまでの感覚ですと、運送会社さんが労基署に入られる「率」は、他業種に比べ高いと感じています。

実際、行政が運送業を重点的に監督した結果などを公表しています。

定期監督等を実施した事業場のうち、労働基準法、労働安全衛生法または最低賃金法などの法令違反が認められたため是正勧告を行った件数は6711件であり、前年と比べ1189件の増加となっています。

立入検査自体が増えていますので、比例して、是正勧告も増加しています。

定期監督等を行った事業場全体の違反率は75.7%であり、前年から2.9ポイントの増加となっています。

4社に3社の割合です。

それでは、違反件数が多い事案は、何になるのでしょか。

ここでは、労働基準法だけに絞って、挙げたいと思います。

1位:労働時間(32条違反)2155件

2位:割増賃金(37条違反)1861件

3位:条件明示(15条違反)1433件

4位:賃金台帳(108条違反)1216件

5位:就業規則(89条違反)931件

6位:賃金不払(24条違反)420件…最低賃金違反と競合するものを含む。

7位:休日(35条違反)119件

となっています。

この1位2位3位は、立入検査で指摘される、または必ず確認される「定番」です。

逆に言いますと、労基署対応の初手はまずはこの3つから、ということになります。

また、労使間で民事上の争いが起こった場合でも、この3つは大変重要です。

民事上、何が1位で何が3位かというよりは、3つセットで1位という感じです。

4位以下も、民事的にも大切です。

特に5位の就業規則は、労務トラブルからみますと、非常に重要です。

労務トラブルだけの観点で1位から3位と5位を整理しますと、以下のとおりとなります。

  • 労働時間と割増賃金は密接に関係

  • 条件明示(労働条件明示)と就業規則は密接に関係

日ごろ私が労務管理の助言をさせていただく際、この点をいつも強く意識しております。