なぜ労働法は使用者にこれほどまでに厳しいのか?

1 労働法は何が目的の法律か?

一言で申しますと、労働者保護のためです。

使用者は賃金を支払うかわりに、労働者の労働力を買っています。

そのため、一般的に、力関係では使用者が有利なため、法律で労働者を保護しています。

戦前の劣悪な労働環境等があり、それに対する保護という観点がいまだに残っております。

時代は大きく様変わりし、人手不足の時代背景もあり、単に使用者だけが有利とはいえない事情も多数発生しています。

しかし、労働法の考え方に大きな変化はありません。

逆に使用者の方が労働者よりも不利になっている事案があり、私がご相談を承っております。

2 例えば何が使用者にとって厳しいのか?

一番メジャーなのが、解雇です。

使用者は解雇する権利を持っていますが、法律で修正がかけられ、実質的に解雇不自由となっています。

どれぐらい不自由かと言いますと、ものすごく不自由です。

それはちょっとどうなの?と思うぐらいに、大変な会社の努力がないと、なかなか解雇有効とはなりません。

カジマ・リノベイト事件という有名な裁判例があり、非常に反抗的な従業員に対して、会社はぐっとこらえて長期間コツコツ手を打ち、解雇有効となりました。

ご興味のある方は、下記URL(公益社団法人 全国労働基準関係団体連合会HP)をクリックしてみてください。

事件概要がわかります。

https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/08063.html

★ただし、カジマ・リノベイト事件のように、基本的には「会社名+事件」という形式の事件名となり、世の中に出ます。

★労働事件名として会社名が出ますので、会社にとっての悪影響はかなり大きいと思います。

 

★解雇事案でもし裁判になって、会社敗訴となれば、本人は会社に戻ってきて、解雇を争っていた期間の賃金の支払いもしなければなりません。

★最悪の場合、裁判で争っている間の賃金仮払いをし、かつ敗訴後の賃金本払いもし、二重払いをしなければならない可能性もあり得ます。

★地裁 → 高裁 → 最高裁と、裁判期間が長期化すれば、金額は多額になります。

★解雇の争いとセットで、未払い残業代も請求されることが多いです。

★最終的に、本人に会社に戻られては困ります(本人の本音も戻りたくない)ので、上記とは別に、多額の退職和解金を支払うケースがほとんどです。

 

会社勝訴となっても、裁判所に「解雇有効と認めてもらうだけ」です。

上記のリスク・コスト・時間・手間を覚悟してまで解雇しなければならない事情があれば、解雇に踏み切る場面もありますが、まずは解雇以外の方法を検討される方が会社にとっての負担が格段に軽くて済みます。

 

※非常に悪質で、解雇が有効になる可能性の高い事案は、解雇で勝負することは当然あります。