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解雇を検討せざるを得ないときの注意点
経営者の方がイメージするよりもはるかに、法律上の解雇のハードルは高いです。
例えて言いますと、里山の頂上に登るつもりで普段着・普段履きで登り始めたはいいけど、実際登り始めて気が付いたら、2000メートル級の山だったという感じです。
その時になって、事前準備が全く足りなかった(登る山の高さを見誤っていた)ことに気が付くわけですが、解雇裁判が始まったなら、もう後戻りはできません。
1 会社が勝っても
解雇した元従業員側から解雇無効の裁判を起こされたとき、会社側が勝訴しても、解雇有効と裁判所に認めてもらうだけです。
勝訴の場合でも、弁護士費用は多額になるでしょうし、時間も相当(通常訴訟なら1年ほどでしょうか)かかります。
つまり、時間とお金がかかるだけで、得るものは特にないのです。
2 会社が負けなら
一方、解雇無効となれば、解雇後の賃金をさかのぼって全額支払わねばなりませんし(バックペイ)、当該従業員が会社に戻ってきます。
当然ですが、会社側勝訴と違い、非常に多額の金銭と時間を要し、なおかつ解雇前の状態に戻る、ということになります。
3 冨島は慎重
上記のような訴訟リスクを想定しながら解雇を検討するわけですが、私の実務感覚は、解雇には非常に慎重です。
なぜなら、繰り返しになりますが、裁判になると、経営者にとって最高の結果でも「解雇有効」となるだけで、お金と時間は必ず必要になってしまうからです。
つまり、経営者にとってメリットが少なく、よほどのことがない限り、解雇を選択する必要性が少ないわけです。
※解雇を選択するのではなく、退職の話し合いなどをするのが一番ベターな選択です。
4 それでも解雇を検討せざるを得ない場合
ここまで解雇のデメリットを述べながらも、会社全体の労務管理等を考えたとき、解雇を検討せざるを得ない場面も出てきます。
その場合、仮に裁判になっても、会社側の解雇の判断が有効だと認められるだけの客観的な証拠等を、必ずそろえておかねばなりません。
裁判に備えるのが主な目的ですが、従業員側が不当解雇だと思い弁護士に相談をしても、会社が従業員側に発行した解雇に関する書類等を当該弁護士が見たとき、従業員側の勝ち目が低いと容易に判断できれば、従業員本人が強くこだわらない限り、その後の行動に出なくなる可能性もかなり高まると思うからです。
5 解雇の法律条文
ここで、解雇に関する法律条文を引用します。
労働契約法第16条(解雇)
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
非常に短い条文ですが、これが、わが国で長年積み上げられた解雇裁判の判例をもとに、規定化された法律です。
6 絶対確認すべき注意点
この法律に基づいて、解雇を検討せざるを得ないとき、絶対に確認しなければならない注意点としては、
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会社の就業規則に、解雇事由が適切に明記されているか?
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その解雇事由に該当する事実はあるか?
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その事実を証明できる客観的な証拠はあるか?
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解雇に至った経緯が合理的といえるだけの事実はあるか?
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その事実を証明できる客観的な証拠はあるか?
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解雇の判断自体が、重すぎはしないか?
等が挙げられます。
これらが認められないと、会社側の解雇の判断は、権利を濫用したものとして、無効とされます。
7 多額の金銭が必要
繰り返しになりますが、解雇無効となれば、弁護士費用等とは別で、賃金をさかのぼって支払わねばなりませんし(バックペイ)、当該従業員は会社に戻ってきます。
会社にいてもらっては困るから解雇したわけですが、戻ってきますから、会社としてそれを回避するには、退職和解での多額の金銭支払い(弁護士費用、バックペイとは別に必要)しかない状況になってしまいます。
もっとも、退職和解に当該従業員が応じなければ、会社に戻ってくることは言うまでもありません。
このようなことにならないよう、解雇は慎重に判断すべきですし、労務問題を専門にしている特定社労士の冨島にご遠慮なくご相談ください。
経営者の方としては、費用対効果で、冷静にご判断いただいた方が得策です。