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助成金目当ての就業規則等の変更に伴う労務リスク

当事務所では過去に一度も行っていない助成金申請ですが、厚生労働省から注意喚起がありましたので始めにご紹介します。

そのうえで、助成金に関する当事務所の見解を述べたいと思います。

 

助成金に関する厚生労働省からの注意喚起情報

以下、【2017年3月下旬に発行された厚労省のメルマガの一部】です。

↓↓↓ここから

▽▼  助成金に関する勧誘にご注意ください!  ▲△

 

雇用関係助成金について、助成対象となるかの診断や、受給額の無料査定をするといった書面を一方的に送付(FAX)することで、助成金の活用を勧誘する業者の情報が寄せられています。

 

厚生労働省や労働局・ハローワークでは、このような勧誘には関わっていませんので、十分にご注意ください。

↑↑↑ここまで

このような厚労省のメルマガがありましたので、皆様もご注意ください。

1 当事務所の見解

実務で全く扱っていないため個別の助成金の中身について把握しておりませんが、当事務所の助成金全般に対する見解は次のとおりです。

 

行政が助成金をわざわざ支給するのは、それなりの目的があるかと思います。

 

例えば、

  • 法的義務を上回る企業対応を促す場合

  • 国の政策の周知啓発活動に、結果として参画するような企業対応を促す場合

などが見受けられます。

 

  • 現在の法規制を上回る対応を、経営判断としてされたい

  • 今後の法制度を先取りして、自社で制度導入をされたい

などのお考えが、会社として積極的にある場合、助成金の活用は有効な場合もあるかと思いますが、そうでなければ、慎重にご検討いただいた方が良いかと思っています。

 

なぜなら、助成金の受給を主たる目的として就業規則等を変更したが、その先の見通しが甘く、もう一度変更前の就業規則等に戻したくても、従業員が同意しないためもう戻せなくなった、ということが起きかねないためです。

 

何のリスクもないはずだからとの説明を受けるかもしれませんが、助成金受給のための安易な就業規則等の変更は、一定のリスクもあるかもしれないとご認識いただいた方が安全かと思います。

2 当事務所のスタンス

当事務所のスタンスは、労務問題の未然防止や発生した場合の対応が主になりますので、労務リスクが発生するかもしれない事項には、非常に慎重です。

お客さまが労務リスクを負う可能性のあることを、労務問題が専門の特定社会保険労務士として、積極的に行えません。

そのため、過去に一度も助成金申請業務を行ったことがありませんし、今後も行う予定はありません。

3 安易に変更してしまった就業規則等を適正にするには?

助成金受給のために変更してしまった就業規則の条文の内容にもよりますが、適正化を検討する際には、労働者側が受ける不利益の内容や度合い等をまず確認しなければなりません。

そして、労働条件の不利益変更に該当する場合、その変更の必要性や合理性、説明をきちんとしたか、労働者から個別での同意は適切に得ているか等、いくつもの条件をクリアーしなければなりません。

助成金受給のための安易な変更は、労働者に有利な変更になるのが通常のため、いつでも簡単に行えますが、それを再度会社の実情にあわせた適正なものに戻すには、相当の苦労が伴う可能性があります。

もう一点、非常に重要な注意点があります。

適正化をする(就業規則を前に戻したりする)ことにより、結果として、助成金の不正受給だと言われるような事は絶対に避けなければなりません。

このようなお悩みに直面しましたら、まずはお気軽に弊事務所までご相談ください。

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