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平成29年度総合労働相談「いじめ・嫌がらせ」
最近、パワハラの可能性がある事案のご相談が多くなっております。
今回は、厚生労働省発表のデータを基に、「いじめ・ 嫌がらせ」が世の中でどれぐらい相談されているかなどをご紹介しつつ、所感を述べたいと思います。
※あくまで厚生労働省が行政当局として把握した数字だけですので、労働組合や弁護士等への相談件数は含まれていません。
1 平成29年度総合労働相談
つい先日、厚生労働省が平成29年度の総合労働相談に関する統計情報を発表しました。
総合労働相談とは、都道府県労働局、各労働基準監督署内、駅近隣の建物など380か所(平成30年4月1日現在)に相談コーナーを設置し、専門の相談員が対応しているものです。
労働者からすれば、まずは気軽に相談できる先といえます。
平成29年度総合労働相談件数は110万4,758件で、10年連続で100万件を超え、高止まりしています。
そのうち、労働基準法等の違反の疑いがあるものは19万8,260件で、労基署等への取り次ぎがなされています。
また、民事上の個別労働紛争の相談件数は25万3,005件で、うち「いじめ・嫌がらせ」が72,067件で6年連続トップとなっています。
※「民事上の個別労働紛争」とは、労働条件その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争のことをいい、労働基準法等の違反に関するものは除きます。
2位は「自己都合退職」で38,954件、3位は「解雇」で33,269件となっています。
平成20年度と平成29年度を比較しますと、「解雇」は67,230件から33,269件と約半減、「いじめ・ 嫌がらせ」は32,242件から72,067件と2倍をはるかに超えています。
2 冨島コメント
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「解雇」については、解雇規制の厳しさが労働契約法16条(解雇)の認知とともに使用者側に浸透してきたため減少したのかとも思います。
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「いじめ・ 嫌がらせ」については、明らかに働く側の方に変化が出ています。
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昔は忍耐力やハングリー精神を持つ方がそれなりに多かったと思いますが、今はかなり減っていると感じます。
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昔も職場における必ずしも適切ではない言動はあったはずですが、それを「いじめ・ 嫌がらせ」と受け止めたとしても、同僚・友人・親などの限られた範囲で話はしたでしょうが、その他の相談機関までには至らないケースが多かったのかと思います。
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今は、相談という行動を起こすことへの躊躇が、それほどないように思います。
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だれでも情報を簡単に入手できるようになったことも、昔と全く違います。
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また、傷つきやすい方が増えたとも感じています。
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昔は良かったという意味ではなく、今の働く側の特性や行動は、時代背景も含めこのように変化していると強く感じます。
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上司と部下に限らず、同僚間でも、言動について「これぐらいはいいだろう」と軽くみない方が良いと思います。
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・職場の「いじめ・ 嫌がらせ」が原因で従業員に何かあった場合、大変不幸ですし、会社も責任を取らなければならない可能性が非常に高いですから、絶対放置してはなりません。
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まずはそれぞれの信頼関係が何より大事なのですが、昔とは違い、言動には十分注意する必要があります。
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セクハラについては、言うまでもありません。
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現在の労務管理において、「いじめ・ 嫌がらせ」やセクハラ行為と疑われる事案が発生した場合、それが事実であれば、会社は厳正に対処すべきです。
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そうしないと、企業責任が問われるだけでなく、人が辞めますし、ハラスメントが公になれば採用が困難にもなり、労使ともに不幸になります。
3 おわりに
「いじめ・ 嫌がらせ」の相談は、今後も増えていくかもしれません。
機会あるごとに申し上げておりますが、会社の立場から見たとき、労働者の相談先として行政系の労働相談はまだ軽いです。
一方、労働組合や弁護士へ相談に行かれると重いですし、会社の負け筋事案であれば、かなり重たくなります。
なぜなら、この場合、何らかの具体的行動に出られる可能性がかなり高くなるからです。
そうならないためにも、何かありましたら些細なうちにご相談ください。