出戻り社員・再雇用の悲劇

これは実話をもとにした事例ですが、私のお客さまや私がご相談をお受けした方のお話ではありません。

1 労務問題はまず採用から

採用難が続いておりますが、ちょっとした採用判断ミスが原因で深刻な労務問題に発展することがあります。

労務トラブルに発展する採用ミスにはいくつかのパターンがありますが、退職した元社員を再雇用する場合は要注意です。

採用難の時代ですのでどうしても再雇用せざるを得ない場面もあるかもしれませんが、今回ご紹介するようなリスクも実際にあるのだとご認識いただきながら、採用の可否をご判断いただきたいと思います。

2 悲劇の事例

社員30名ほどの運送会社さんで、社長とけんかをして退職した元社員が、涙を流して会社に戻りたいといってきた。

その会社の社長は、2代目で優しい方。

 

再雇用したものの、出戻り社員の勤務態度は元の良くない状態に戻り、結局再度の退職の話となり、会社は退職合意書を取り交わそうとした。

しかし、本人は債権債務なし(会社が支払うべき残業代もない)という清算条項付きの退職合意書にサインせず、その後未払い残業代請求をしてきた。

 

この出戻り社員は再雇用後に労働組合を結成していて、本人が未払い残業代請求のリーダーとなり、会社に対し1億円を請求。

問題発生当時はリーマンショックにより会社の売り上げが半減していて、当該残業代請求によりその運送会社さんは廃業。

3 悔やんでも悔やみきれない判断ミス

涙を流して復帰を求めた出戻り社員を優しく再雇用した結果、このような悲劇が起こりました。

社長のちょっとした判断ミスが、後に廃業という大問題となってしまいました。

その社長はどれほど無念だったか・・・。

4 出戻りは本当に慎重な判断を

出戻りのケースは、かなりの高い確率で、他の会社は厳しいということを本人が認識して、居心地のよかった元会社に再雇用を求めているのだと思います。

 

会社のよほどの事情や、社長が上記のようなリスクもあり得ると覚悟したうえでない限り、出戻り社員の再雇用はしない方が良いと思います。

よほどの事情にならないように、事前に他の方法を検討・実施しておかれるのがベターなのだと思います。