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中途採用者の採用可否の着眼点
1 労務問題を少なくするには、まず採用から
当然のことなのですが、採用に力を入れている会社の場合、労務問題の発生確率が一般的には低くなります。
会社ともめる人(ミスマッチの人)を採用しないよう、採用コストをかけたり、工夫したりされています。
いわゆる労務問題における水際対策です。
しかし、人というのは感情の生き物ですし、入社後の生活環境等の変化にも影響を受けますので、採用戦略だけで労務問題を防ぐことは難しいです。
2 労務問題は相対的に中途採用者に発生する確率が高い
中小企業において、中途採用者を採用せずに済むというのは、ほぼあり得ないと思います。
(コロナ禍の前は、大企業を含めて、中途採用意欲が高い企業が多かったです)
ですので、会社業務を遂行するためにどうしても中途採用者を採用しなければならないわけですが、採用面接で前のめり(当社にとって、きっと有益な人材のはずだと思いながら面接してしまう)になりますと、失敗する可能性が高くなると思います。
ミスマッチ等の「負の側面」を見逃してしまうと思うからです。
中途採用者の多くは、家族や住宅ローンなど、入社前から背負っているものが、新卒者に比べて多くあります。
ですので、労務問題に発展する可能性が必然的に高くなります。
※労務問題の発生要因は、「感情・お金・年齢(次がない)」が多いと強く感じます。
3 履歴書での着眼点
(1)離職理由
●離職理由は必ず確認
全ての離職理由が、会社の倒産や事業所閉鎖などの場合、虚偽の可能性があると思います。
世の中にはお気の毒な運の悪い方はおられますが、毎回必ず、というのは不自然です。
不自然な感じがあれば、必ず面接で離職に絡む様々な質問をすべきですし、最終的に内定を出す前にネット等で必ず調べるべきです。
面接では、「こちらの質問に答えたくなければ、お答えいただかなくても構いません」という旨を伝え、詳しく答えを引き出すか無回答かを確認すべきですし、ネット等では、実際に会社倒産や事業所閉鎖などがあったかどうか、調べるべきです。
少なくとも、会社倒産の有無ぐらいはすぐにわかる(実際は倒産しておらずホームページも更新されている)かと思います。
(そもそも、ホームページがないケースもあるかもしれませんが)
(2)職歴や失業期間の不記載
●他の会社での在籍期間を長くして、不記載分をごまかしていないか確認
どのように確認するかですが、職歴について1社ずつ在籍期間中の仕事内容等を面接で聞いていく中で矛盾点や違和感がないか確認したり、(直近の会社からの順になりますが)後日に退職証明書を提出してもらう旨を面接で言ったりします。
退職証明書というのは、労基法で定められたもので、労働者(退職者を含みます。以下、同じ)の請求があれば、使用期間や業務の種類等(労働者が請求したものに限る)を記載した証明書を、会社は労働者に遅滞なく交付しなければならないというものです。
ただし、時効は2年です。
職歴等の不記載など、後ろめたい気持ちがあれば、過去に在籍していた会社へ退職証明書を請求しにくいでしょうから、一定の効果は期待できます。
※この場合、退職証明書を提出できない人は採用しないことです。
(3)失業期間が長い人は要注意
●例えば、家族がいる方の失業期間が長いというのは不自然
労働審判や訴訟、または団体交渉をしていた可能性があります。
面接で質問すると、海外に行っていたという言い方をされたりするようですが、家族がいるのに長期間海外で過ごしているというのは、非常に違和感があります。
(4)会社から遠いのに応募してくる(例えば通勤1時間半以上の遠距離など)
●なぜ遠いのに当社を選んだのかと質問する
やりたい仕事があった等と言われるかもしれませんが、他の理由があるかもしれません。
例えば、他の会社で不採用が続いており、やむなく応募してきたなど。
特殊な職種を除いて、一般的な職種で、わざわざ遠い会社を選んでいるのは、前職で問題を起こし、その地域と業界では有名な人になってしまっているケースもあると思います。
(5)あまりに近すぎる場合(会社と自宅が半径数百メートル以内など)
正社員採用の場合ですが、不幸にも労務問題に発展すると、いろいろと不都合が生じる可能性がありますので、よほど人物が良い場合は別として、採用を迷う場合は見送った方が良いかと思います。
4 嫌な予感は当たる可能性が高い?
私自身そうなのですが、前向きな予感はなかなか実現しませんが、嫌な予感はそれなりに現実化します。
勝手な私見ですが、「嫌な予感」とは、過去の経験を踏まえた「体内自動警戒情報の発令」ではないかと思います。
ともあれ、採用戦略は、労務問題の予防にとって非常に重要です。
ですので、嫌な予感がした場合、よほどのことがない限り採用しない方が良いと思います。